「遊びと人間」

遊びの本質を解き明かす古典的名著

「人生は遊びに始まり、遊びに終わる」という言葉があるように、遊びは人間の生活に欠かせない要素です。しかし、遊びは単なる娯楽にとどまらず、私たちの文化や社会の根幹を成す重要な役割を担っています。この遊びの本質を深く探求した名著が、ロジェ・カイヨワの『遊びと人間』です。

カイヨワは、遊びを「競争」「偶然」「模擬」「眩暈」の4つのカテゴリーに分類し、それぞれが人間の欲求や衝動とどのように結びついているかを明らかにしました。例えば、スポーツに見られる「競争」は、勝敗を競う欲求を満たし、ギャンブルなどの「偶然」は、運命に身を委ねる快感を与えます。また、演劇やロールプレイングに見られる「模擬」は、想像の世界で自由に創造する喜びを、遊園地のアトラクションやアクションスポーツの「眩暈」は、日常からの解放感と興奮を体験させてくれます。

このように、遊びは私たちの内なる欲求を満たすと同時に、社会的なルールや価値観を学ぶ機会も提供します。カイヨワは、遊びが文明の発展に不可欠な要素であり、芸術、科学、宗教など多くの文化的活動の源泉であると説きます。

さらに興味深いのは、カイヨワが遊びの中に「聖」と「俗」の二重性を見出している点です。遊びは現実からの一時的な逃避でありながら、現実をより深く理解する手段でもあるのです。この洞察は、現代社会のスピリチュアルブームを理解する上でも示唆に富んでいます。

現代では、テクノロジーの発展と共に遊びの形態も大きく変化していますが、カイヨワの理論は、遊びの本質的な「おもしろさ」は不変であることを教えてくれます。デジタルゲームから伝統的な遊びまで、すべての遊びに通底する魅力を再発見できるはずです。

『遊びと人間』は、遊びの背後にある深淵な哲学と心理学を知るための必読書です。カイヨワの鋭い洞察力と豊かな知識に触れることで、遊びの真髄を感じ取り、日常に新たな視点を得ることができると思います。

asobi+スポーツでは、【遊び=楽しければよい】ということではなく、「ロジェ・カイヨワ」や「ジョン・デューイ」などの研究者たちが提唱した「遊びの定義」を踏まえた上で身体を取り扱うことが大切だと考えており、お子様にお伝えしています。

最後までお読み頂きありがとうございました。
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